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釈阿理のひとり言

『施餓鬼会』って何? 何故お盆に行うの?

2023年08月04日

八月。子供達はもう夏休み真っ盛り。大人も来週末辺りから夏休みウィークに入りますね。
さて、八月と言えばお盆。実家に帰ってお盆の行事に参加する方、ご自宅でお盆をされるお立場の方、新しい仏様がいらっしゃる方、『ウチのお盆は七月で、もう終わっちゃったよ』という方、それぞれのお盆、そして地方により様々なお盆があることと思います。
ところで表題の『お盆にお寺で行われる施餓鬼会って何だかご存知ですか? 

お盆はご先祖様が帰って見えるので、家にお迎えしてお接待して・・・と祖母から教わってきたのに、なんでお盆にお寺で施餓鬼会をしているのだろう?
釈阿理も子供の頃からこの点が謎で不思議でなりませんでした。
今日は種明かししちゃいましょうね。
亡くなって最初に迎えるお盆に行う『新盆会』についても解説しますので、是非最後までご一読ください。

 

先ずそもそも『施餓鬼=せがき』って何?と言うお話です。これは読んで字の如く、『飢渇に苦しむ餓鬼に飲食の施しをする』ことを言います。仏教上の施餓鬼法は、平安時代に弘法大師によって伝えられ、鎌倉時代に諸宗派に取り入れられ、現代に伝わります

では『餓鬼』ってどんな鬼?と言う話ですね。
仏教では、人がこの世を去ると六道と呼ばれる六つの世界の何れかに行くことになると教えます。六つの世界とは天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六道です。現在私たちは人間道に有るわけです。六道についての説明はまた別の機会に譲るとして、餓鬼とはこの餓鬼道にある者を指します。

餓鬼道では、食物を手にして食べようとすると炎となり食べられない、或いは喉が極端に細くなって飲食物が通らないetc.といった状態で、常に空腹と渇きに苛まれて痩せ細り大変な苦しみを味わうとされます。そんな苦しみの中にある餓鬼さん達に飲食物の供養をする法会『施餓鬼会』と言います。『もっと欲しい、もっと!もっと!と貪欲な心でいると、餓鬼道に落ちますよ!』と言う戒めでもあるのでしょうね。


さて、お盆にお寺で施餓鬼会を行う理由ですが、2種類の考え方があります。

1)お釈迦様の弟子の一人、阿難尊者にまつわるお話。
ある日、阿難さんの前に口から焔を吐く餓鬼が現れ『お前は3日後に死んで餓鬼になる!』と告げます。驚いた阿難さんがお釈迦様に相談すると、『無量の餓鬼に飲食を施す加持の方法』を教えてくれました。阿難さんはそのお加持を修して無事を得たと言うお話が『瑜伽焔口経』というお経に説明されています。

もともと施餓鬼法は時期を限定せず修されていましたが、お盆行事の起源とされる『餓鬼道に落ちてしまった目蓮尊者の母君を救うため、07月15日に修行明けの僧侶達に飲食物を供養した』という故事(盂蘭盆経に依る)と結びつき、お盆に施餓鬼供養をする様になったと言う考えです。


2)お盆の施餓鬼会の際にこの一年の間に亡くなった新しい霊位を一緒に供養する所以を説明するものです。

新しい霊位はこの世を離れて日が浅く、現世の記憶を残しており、それを浄化しないと餓鬼と同じ扱いを受けるとされます。故に新しい霊位は別立てで新盆会などの供養を行い、また万が一餓鬼と同じ扱いを受けていたとしてもお接待が届くように、施餓鬼会の際に一緒に供養をして差し上げるというものです

そんな訳で、お家にご先祖様をお迎えしてお接待している中でもお寺の施餓鬼会に出向いて一緒に餓鬼さん達に施食のお供養をさせて頂くその善行の功徳のポイントを、ご先祖様にお土産としてお持ち帰り頂くといったところでしょうか。


私たちが今、生きているのはご先祖様から脈脈と受け継がれた命です。ちょっと計算してみたのですが、10代先まで遡るとご先祖様の数は1024人。私は母方の家系では18代目の一人なので、計算上のご先祖様の数は262,144人です。アカの他人と思っていたら遠い親戚だったりして(汗)。

暑い夏のお盆行事。古のご先祖様に想いを馳せて、命の不思議を感じてみましょう。誰かの為にちょっぴり良いことをするのもお忘れ無く!
素敵な夏休みをお過ごしくださいね。

釈阿理 合掌
 


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