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釈阿理のひとり言

『これは漢方薬だから大丈夫!』なんて思っていませんか?

2023年07月04日


七月。梅雨も後半に入り、不快な高温多湿に加え集中豪雨の季節です。釈阿理も昨夜は久々の激しい雷雨を体験。思わずパソコンのコンセントを抜き、懐中電灯を握りしめていました。最近の雨はまるでスコール。短時間にドバ~ッと降るので怖いですね。侮らず、動物的な勘を働かせて『怖い!』と思った時はとにかく安全第一で行動しましょう。

さて、本日の話題は漢方薬。最近釈阿理は身近で『これは漢方薬だから大丈夫!』という話を複数の方から耳にしました。『なぜ漢方薬は大丈夫なの?』と訊ねると『自然の物だから、飲み合わせとかも心配ないし、安全なのよね~』と。
ちょっと待ってください。それ本当ですか?根拠は何? 読者の皆様の中にも同じお考えの方が少なからずいらっしゃるでしょうか。

漢方薬と言えども薬は薬自然の物だから安全というのは大きな間違いです
釈阿理はガン闘病を経験して自然薬に興味を持ち、メディカルハーブを勉強しました。ハーブは西洋の薬草学ですが、扱われる薬草の中にはスパイスとして私たちが日常的に使っているもの、漢方の薬種や、なんとお香に使う『香薬種』とも重なるものがたくさんあることに気がつきました。もちろん西洋と東洋では、同じ薬草でも呼び方が異なったり、当然生えている環境が異なりますので、少し品種が違ったりと言う事はあります。名称が違うので当初は気付かなかったのですが、長年香薬種を扱ってきた経験から、香りで『???これはどこかで嗅いだ香り?』と来て、調べて大発見~! その道の方には当たり前のことなのでしょうけれど釈阿理には大発見だったのです。(お香で焚いて成分を蒸散させていたのかしら?)

以降ハーブの勉強に加え、漢方薬、スパイス、香薬種について、研究を重ねて来ました。『祈祷して、カウンセリングして、薬草を使いこなせてこそ本当のシャーマン』と思っていたので、俄然ファイトが沸いてしまったわけです(汗)。
と言う訳で、今日は『漢方だから大丈夫』との思い込みのリスクについて少しご説明しようと思います。

 

『漢方薬の原料は?』

現代のような特定の成分が精製された『薬』が登場したのは、今から100年ちょっと前のこと。それまでは、『薬』と言えば自然薬が当たり前でした。自然薬というと、主に植物系(根、全草、花、種、葉、樹皮、樹脂など)、動物系(動物の部分、例えば熊の胃など)、鉱物系(石膏など)の三種類。先人達は成分名など知らずとも、経験則からその作用を知識として代々伝え継いで来たのでしょうね。もちろんその過程に於いては、多くの犠牲も払ってきたことでしょう。その智恵の集大成が、今日私たちが勉強することの出来るメディカルハーブであり、漢方薬学であり、香薬種の調香術なのだと思います。

薬草とスパイスと香薬種に共通するアイテムが多いということは、何を意味するのでしょうか? 釈阿理が扱っていて思うのは、薬効成分は香り成分、色素成分が多いということ(もちろん香りも色もあまり無いものもあります)。だからこそ、スパイスや薬種に使われるのでしょう。

例えば皆さんよくご存知のシナモン。これは東洋ではニッケイ、桂皮と呼ばれます。お香としてもスパイスとしてもよく使われますが、漢方薬としては消化器系の賦活剤として使われます。臭み消しに使われるクローブは『丁字』、パチョリは『排草香』、ウコンや生姜も世界各地で薬として、スパイスとして使われていますね。

【漢方薬も『薬』です】
漢方薬やハーブ製材、自然薬と呼ばれるものは、『各薬種の成分や相互作用を勘案し、特定の症状を改善するために調合されたもの』といえます。
こうして考えてゆくと、医師が処方してくれる漢方薬のエキス剤や、薬局で売られている漢方薬は、目的の症状を改善する為の『薬効成分』がしっかり含まれていて、一定の作用があることが確認されていると言うことが解りますね。
身体に作用する成分が含まれていると言うことは、漢方薬といえども当然他の薬と併用すれば、相互作用が生じる可能性もあるということ。それは西洋医学の現代薬に飲み合わせがあることと、何ら変わりはありません

相互作用には二種類あって、1つは作用を増強させてしまう組合せもう一つは作用を減衰させてしまう組合せがあります。後者の場合は害は少ないかも知れませんが、前者の場合は実害が生じる可能性もありますので、ちょっと怖いですね。
更に漢方薬でも、長期使用によって副作用の出やすいもの短期使用でも、人によってはアレルギーを起こす可能性もあります。その意味に於いては西洋医学の『薬』と何ら変わりはありません。『漢方だから大丈夫!』などと言う安易な思い込みはご自身をリスクに晒すことになります

【漢方薬はじっくり効く?】
これも良く耳にする話です。しかし芍薬甘草湯のように頓服で服用する漢方薬もありますから、これもちょっとイメージ先行かもしれませんね。ただ、精製された成分で作られている現代薬に比べ、漢方薬をはじめとする自然由来の『薬』は、成分が精製されていないが故に、作用を抑制する成分が含まれていたり、目的の症状緩和のみならず、身体全体に作用して調える成分が含まれていたり、まだ完全には解明されていない相互作用があったりします。

釈阿理がハーブの勉強をしていた時は、『未精製ゆえの雑成分?があるからこそ、副作用が出にくく作用が穏やかである』と教わりました。これを気学的に考えると、自然の存在は常に陰陽(作用・反作用)を内包してバランスを取っているため、これを丸ごと摂取すれば、どちらかが突出することは起き難いと理解出来ます。これをして『漢方はゆっくり効く』と言ったイメージが出来上がってきたのかも知れません。

また漢方医学そのものが『身体全体を調えて健康にする』という考え方ですから、時間を掛けて身体を調えることを目的とした処方も少なくありません。
この点は、西洋医学の『不快な症状を改善する』言う対症療法的な考え方と少し違うと言えるかも知れません。

【漢方薬も『薬』として慎重に正しく服用しましょう!】
ここまで漢方薬(自然薬)についてご説明して参りました。言われてみれば当たり前のことばかりだったかも知れません。しかし『漢方薬だから大丈夫』とは限らないことはご理解頂けたかと思います。
例え漢方薬であっても、医師の処方薬なら処方通りに、市販薬なら添付文書をよく読んで、現代薬と同じように慎重に正しく利用していきましょう。
釈阿理の友人のように『漢方だから大丈夫よ。これ飲んでみて!』と他人にプレゼントしたりしないようにしましょうね。

高温多湿で体調を崩しやすい時期です。十分な睡眠と適切な体温調節を心掛け、お元気にお過ごしください。
素敵な七月でありますように!

釈阿理 合掌
 


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